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「ミリオンダラー・ベイビー」を観た

「クラッシュ」の監督が脚本を書いたというC・イーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベイビー」のDVDを借りて観る。この作品も作品賞をはじめ4部門のアカデミー賞を取ったって事で当時話題になってたから、予告編なんかは見たことがあった。でも予備知識はそれくらい。女性ボクサーとC・イーストウッドの話としてか知らなかった。

映画の前半は、自分が育てたチャンピオンに逃げられたイーストウッド扮する老トレーナー フランキーが、強くなりたいという願望だけ強い若くない女性ボクサーをはじめは敬遠してたけど、古くからの友人である元ボクサーに勧められた結果、彼女に夢を託して指導し、そして彼女がどんどん強くなる、で、チャンピオンで”ハッピー!”っぽい展開で、「まあ、女性版ロッキーか。」なんて思ってた。が、しかし、後半にかけて物語は急展開。一気に違うモードのお話になります。

後半以降の内容は予告編他では一切明らかにされていなかったので、オレはその急展開に少しびっくりした。まあ、このまますんなりと(多少の特訓などはあるにせよ)チャンピオンになるとしたら、後はイーストウッドがガンにかかって、チャンピオンになった瞬間に死んでしまう、というような展開になるのかな?(DVDは途中、間が開いて観たので、その間に映画評論サイトで”ただの女性版ロッキーではない”という趣旨の書き込みを読んでしまったための浅読み)なんて思ったら全然違う。全く違う。

(以下、ネタバレあり)

あのタイトルマッチの怪我の仕方ってのは、あまりにご都合主義的だと思ったけれど、まあ、物語を展開してゆくには仕方がないかな、と思い許す。

で、その怪我のために、彼女は首から下が動かなくなってしまいます。そんな彼女の事を必死で見守るイーストウッド。親子でも何でもない二人ですが、一緒にボクシングが強くなる過程で彼女の家庭事情なども知ることなどから、二人の絆は深くなって行きます。冷たい仕打ちをする家族に会った後の会話で「私にはあなただけしかいない(原語では" I got nobody but you,Frankie")」という彼女に対して「ああ、オレがいる(原語では"Well,You've got me"と言っている。)」と返すイーストウッド。くー、もう完全に恋愛映画ですね。年齢は孫ほど離れている彼女が彼に対して、自分の立場と気持ちを表現し、それに対して彼女と同じく家庭に恵まれないイーストウッドは愛情を感じ、それをはっきり彼女に伝えたんでしょう。で、このセリフ。DVDのいいところで、日本語と原語がセリフ、字幕ともに切り替え可能。ココに書き出した台詞は英語字幕からの引用なんですが、ヒラリー・スワンクが単純に"I got"と言っているのに対して、イーストウッドは"You've got"と言っています。つーことは、イーストウッドははじめ彼女にボクシングを教える事をいやがってたけど、実はずっと彼女の事を考えてたんだ、という気持ちの表れかな?なんて勝手な深読みであります。

そんな二人をつかず離れず見守るのが、試合で片眼が見えなくなってしまった元ボクサーのモーガン・フリーマン。この親父がいい感じであります。フランキーとの男二人(っていうか、二人のおじーさんなんだけど)の微妙な関係がイイ。いい味出してます。

で、この映画の後半のテーマですが、観てて「オレがフランキーの立場だったらどうするだろう。逆に、ヒラリー・スワンクの立場だったらどうだろう」なんて考えてしまいました。

人それぞれ違うだろうし、そのときの状況でも違うだろうけど、果たしてオレはどんな行動をとるんだろうか?

どっちにしても苦しい状況になることははっきり分かっている。どちらもつらい道である。それなら、どちらがよりつらさが少ないか、とオレは考えてしまう。

劇中のフランキーもそう考えたんでしょうね。だから彼の行動は非難出来ない。法律的には罪になるんだろうけど、非難は出来ない。難しい問題で、答えは出せない。あれはフランキーが出した答えだったんでしょう。

さて、ラストシーンにはいろいろと解釈があったり、ジムから持ち出したアドレナリン用の注射器が二本だったりしたことからいろいろと深読みされているようですが、まあ、ラストは余韻を残す終わり方として、観客が自由に想像するのがこの作品の正しい味わい方なんでしょう。何が正しいとか間違ってるとかはナシ。

つーことで、クラッシュに続いて、おもしろい映画でしたね。

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コメント

TBありがとう。
そうやって、原語と比較できる能力、尊敬しますよ。
最後の、注射器2本は、全然、気がつきませんでした。
フーン、やっぱり・・・・・。

投稿: kimion20002000 | 2006/03/20 22:45

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