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「太陽」を観る(DVD)

Sun
TSUTAYAに行くと、イッセー尾形が昭和天皇を演じたアレクサンドル・ソクーロフ監督作品のロシア映画「太陽」があったのでソッコーで借りる。

昭和天皇の終戦直前から人間宣言までを描くこの作品は、昭和天皇をあまりに正直なフツーの人として人間的に描きすぎたためか日本公開は危ぶまれていたが、その後 ひっそりと公開された。

そんな作品ですが、観てみてとても良かった。

昭和天皇がうなされたB29や爆弾がすべて魚で表現されていた悪夢の中の東京大空襲は、とても美しくてとても怖いシーンだった。特に人死にを見せるわけではないけれど、とても怖い。それから、敗戦直後の東京の廃墟がとても恐ろしい。これまでいろんな映画やTVで空襲後の風景が描かれていたけれど、どれもこれも”きれいさっぱり”というイメージで怖いという感じは受けなかった。でも、この映画の焼け跡は怖い。全く何もない、夢も希望も見あたらない。これらのシーンを表現するCGのクオリティはいかにも”CG”っぽくて今ひとつなんだけどね。

そんな映画で表現される昭和天皇の日常の姿は少し心許ない感じ。会見するD.マッカーサー元帥が「少年みたいだ」と言い、これが数百万の市民を戦争に追い立てた独裁者か?などと疑問に思うのもよくわかる。いろんな資料を基に作り上げたフィクションだけど、かなり事実に近いと思われる昭和天皇像は日本人として観ていて少し複雑な感情も持ってしまうのは否定できない。こころのどこかで”天皇陛下なんだから、帝国陸海軍の大元帥なんだから、もっときりっとしてくれよ”とも思ったりする自分を発見する。でも、自分が直接TVなどで見て聞いて知っているおじいさんになられた頃のホンモノの昭和天皇から受ける正直な印象は、この映画で描かれたような人なんだよな。

まあ、そんな風な普通の人間としての天皇陛下を描いた作品なので、当然 皇后陛下とのエピソードも描かれる。ただし、ラストシーンでのみだけど。でも、それがいい。とてもイイ。お互いを思いやる二人が(特に昭和天皇は一人きりの時に、疎開中の自分の家族(皇后陛下と皇太子(今上天皇))の写真を指でなでたりするシーンが出てくる)言葉少なにお互いの無事と再会を喜び合うシーンは、すごく心にしみるいいシーンです。

主役のイッセー尾形はとてもすばらしいのは言うまでもないけれど、侍従役の佐野史郎を始め周りの役者さんもとてもイイ感じです。(少し滑稽な感じでの演技もありで)桃井かおりさんも、ラストシーンで出てくるだけだけど、とても印象に残る演技をされています。

映像は彩度が低い少しぼんやりした印象で、音楽も必要最低限のモノしか流れないしとても地味な映画ですが、日本人としては良きにつけ悪しきにつけそれぞれに感想を持つ映画だと思います。

つーことで、評価のブラボーポイントは4ブラボー!

詳しい内容はこちらで。「太陽 The Sun」
http://taiyo-movie.com/

それから、TBSラジオ番組”ストリーム”内のコーナー「コラムの花道」で町山智浩氏がこの映画について語っておられます。興味のある人は是非とも聞いてみてください。
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/files/st20051122.mp3

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