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「後ろ傷」読了

いやぁ、面白くて出張の新幹線車中で一気に読んでしまいました。

主人公は「ススキノ・ハーフボイルド」の松井省吾君です。前作の後という設定で、前作ではそれほど要所要所のみ絡んできた便利屋がかなり活躍します。なので、「ススキノ~」シリーズというよりも、「俺」シリーズではないかと思ったりして。

「俺」シリーズは作品毎に時代の流れに沿って主人公の便利屋も年取ってきたもんだから、アヅマ先生としては内容を大きく変えずにシリーズを続けるのはつらいと思ったのか、「俺」よりずっと若い松井省吾を主人公に据えて新たな展開を見せてくれました。デビュー作ではオトナに囲まれていろいろと揉まれる「俺」が、今ではワカイモンを揉む立場になっているのはデビュー作から読んできたファンとしては感慨深いものがありますな(なんちゃって)。

いずれにせよ、シリーズのもって行き方としては”ウマイ”と思いました。

内容はといえば、これまでもずぅ~っと書き続けていた、裏社会の汚さをケイベツする内容で、ラストは読んでて涙流したり、スカっとしたりするもんではないのは相変わらず。「まっ、しゃーねーや」というところです。

物語の中心に据えられたテーマは、かつての学生運動家のその後で、これって「俺」シリーズの短編集でも取り上げられてたテーマ。あの作品では「俺」がまるっきりワカゾーとしてあしらわれてたけど、今回はあしらわれる役は松井君。まっ、今後の「ススキノシリーズ」の中心人物なんでしゃーねーわな。

で、その主人公の松井君はかつては進学校に通いつつ、ススキノのきれいなオネーサンの恋人であり、なかなかよい境遇であったのが、今回の作品中ではいきなり偏差値最低の大学生という設定。いきなりランボーだなと思ったけど、松井君の心のカットーや彼女との関係など、ぐずぐずと書き連ねている内容は一部身につまされる気もして、悪くない。こんな心の動きを書きたかったのと、舞台を実在の大学(たとえば北海道大学?)にすることはためらわれたという理由からなんだろけど、それはそれで良し。次回作で松井君が自分の立場を(北大再受験?彼女との関係は?)どう展開させているかも楽しみであります。

まあ、そんなわけで、ストーリー自体は後味の良いものではないけれど、俺や周りの登場人物たちのキャラクターと、主人公松井君の心のカットーなど、読んでて楽しめる作品です。

それにしてもアヅマナオミってヒトは細かい表現は上手い。乱闘シーンの表現は天才的だと思うし、今回の作品では乱闘シーンに出くわしてそれを警察に知らせようとするサラリーマンの表現が抜群に上手い。北海道出身の頭の弱い大学生の描き方など、作者の観察眼っていうか人間を見る目は鋭いなぁと改めて思いマスタね。

70点。

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