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「太陽の塔」読了

「夜は短し、歩けよ乙女」をよんで、”なかなかおもろいな”と思ってた森見登美彦氏のデビュー作で、新潮社の「今、読みたい新潮文庫」の一冊で、日本ファンタジーノベル大賞受賞作である「太陽の塔」を読み終えた。

「夜は短し・・・」では、今ひとつバラバラな感じであった文章でしたが、デビュー作ではそんな印象はなく、二つを読み比べるとこっちのほうが後でかかれたという印象でありました。

主人公は「夜は短し・・・」と同じく、自意識過剰で冴えない大学生。それを取り巻く個性的な人物が繰り広げる様々な出来事。自分がモテないことを他人のせいにしつつ、世間に毒づきかつ同病相憐れむで、似たようなヤツらと連帯しつつだらだらと過ごす日常。そこにチラと現れるかつてつきあってた人を巡る幻想。読んでて「あれあれ?」と思ったオレだったけど、ファンタジーノベル大賞受賞と知って、「さもありなん」とも思いました。

ファンタジーノベル大賞受賞なんですが、これっていわゆる”ファンタジー”な小説ではなく立派な青春小説で、文庫版の解説で本上まなみ氏が書いているとおり、「躁病期の北杜夫文学」的な香りをそこここでぷんぷんと感じます。読んでるうちに、「どくとるマンボウ青春記」を読んでたときみたいな気持ちになった。もてないのは寂しいけれど、それでも主人公一味に加わって、「えいじゃないか騒動」に巻き起こしたい、せめて巻き込まれたい。正直、そんなことを思いましたね。

この作品での理屈っぽくて大時代的な「文士的な語り口」(by 本上まなみ at 解説)は、「夜は短し・・・」よりよっぽどこなれているし、オレ的にはこっちのほうがとても好きです。デビュー作のほうがいいなんていかがなものか。

面白くて面白い。注目の作家です。ただし、バリエーションが限られるかもしれず、連作は難しいかもって思われるのが心配。次は、狸が主人公の作品でも読もうかなって思ったりしてね。

評価は80点。(おおっ、高っ!)

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